とあるお問い合わせ〜お葬式お願いできますか?〜

お葬式

それは尊い命と

向き合う場です。

 

お弔いの方法は様々です。

 

仏式

神葬祭

キリスト教式などを始め

各家各個人が“しるべ”とする

お弔いの形があります。

 

普賢院は

真言宗豊山派の

お寺ですので

有縁の方のお弔いは

真言宗豊山派の法式にて

執り行われます。

 

真言宗に限らず

同宗派であっても

それぞれの地域や伝統も関係し

通夜、葬儀、法事などの

次第は様々です。

 

目まぐるしい社会変化

人口減少、少子高齢化

それに伴い想定される様々な課題

現代日本は、不安をあおるような

情報に満ちているように思います。

 

「お弔い」も不安材料の

1つではないでしょうか。

 

最近は

「檀家ではなくても葬儀や法事はお願いできますか?」

とよくお問い合わせを頂きます。

 

お寺にもよると思いますが

当山では檀家さんでなくとも

お勤めをさせて頂いております。

 

ちなみに

檀家さん以外の方で

葬儀、法事、その他法要を

ご依頼される方を

寺院規則上「信徒」といいます。

 

「信徒さん」という言葉を

聞いたことがあると思います。

 

お葬式は

あらかじめ予定されている

ものではありません。

 

突如として

その時を迎えなければならない

ということも珍しくありません。

 

お葬式のみならず

「仏事にまつわる悩み」が

多い昨今です。

 

お寺に寄せられる

ご相談も実に多種多様です。

 

お寺は「心のより所」と

なるべき場所であると思います。

 

「駆け込み寺」という

言葉があるように

お困りの際は

お気軽にお問い合わせ頂ければと思います。

 

お悩み、ご質問等ございましたら

ご遠慮なくお寄せ下さいませ。

 

「おもい」を伝える

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岩手県大槌町に「風の電話」と呼ばれる電話ボックスがあります。

白いボックスの中には、ダイアル式の黒電話が置いてあります。

 

風の電話に、電話線は引かれていません。

「おもい」を伝える電話ボックスです。

 

受話器の向こうに肉声はありません。

風の電話では、大切な方との「こころの対話」がなされます。

風の電話は、大切な方と過ごす空間です。

 

「おもい」を伝えるということ。

ありのままの「おもい」をありのままに伝えるということ。

風の電話は、「おもい」をありのままに伝えることで、大切な方とつながることが出来る空間です。

 

風の電話は絵本にもなっております。

「あえなくなったひとに、じぶんのおもいをつたえると、かならずそのひとにとどく」と言われる電話の物語。

 

「おもい」を伝える形は実に様々です。

お寺も「おもい」を伝える場の1つかと思います。

法事、葬儀などの仏事も「おもい」を伝える場であろうかと思います。

 

仏事の形式はとても大切です。

そこには深く尊い意味が託されているのですから。

 

しかし、最も大切なのは「おもい」を伝える事、通わせる事です。

「おもい」を通して、大切な方とつながるということ。

それは色あせる事の無い尊いご縁を大切にすることでもあります。

 

仏道では心のあり方を大切に考えます。

心のあり方は、行いのあり方、言動のあり方と一体であると考えるからです。

 

つながりやご縁を感じる事は、心の安らぎに通じます。

これは仏事の本来的な意味を考える上でとても大切なことです。

 

大切な方に何を伝えたいですか?

大切な方と何を話したいですか?

大切な方とどこに行きたいですか?

大切な方に何を食べて頂きたいですか?

 

「おもい」を伝えるということ。

「こころの対話」をするということ。

 

皆様は大切な方に、どのように「おもい」を伝えますか?

 

※風の電話について:森の図書館HP

福島県相馬市を行く

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福島県相馬市。

震災で大きく被害を被った地域の1つです。

4月4日、5日に相馬市を訪れました。

 

相馬市尾浜に摂取院(せっしゅいん)という御寺院様がございます。

真言宗豊山派(ぶざんは)寺院で、当山と同宗派の御寺院様です。

 

摂取院様では、多くの檀家さんが亡くなられました。

境内には東日本大震災物故者供養のため、聖観音菩薩像が祀られております。

 

亡き方のご供養のため、残された方のため、大震災を目の当たりにした者がその教訓を忘れないために建立された観音様の眼差しの先には、穏やかな海が広がっておりました。

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色鮮やかな“みおしえ”

本日予定されていた法事を終えた後、供えられた生花を一同に須弥壇(しゅみだん)に飾らせて頂きました。

色彩豊かな花々で須弥壇が綺麗に華やいでおります。

 

花は忍辱(にんにく)の象徴です。

忍辱とは「耐えるべき時は耐える」ことです。

耐えるべき時に耐え、その先に各々の「花」を咲かせなさいという“みおしえ”です。

 

色鮮やかな生花が、本尊御宝前にて優しく“みおしえ”を伝えております。

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島の別れ言葉

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世界自然遺産の

東京都小笠原諸島。

 

東京の

竹芝客船ターミナルで

フェリーに乗り

片道約26時間。

 

東京から南に

1000kmに位置する

亜熱帯の楽園です。

 

1週間に1往復程度で

運行されるフェリーでしか

行く事は出来ません。

 

島には

温かなおもてなしの

習慣があります。

 

島には“古き良き日本”と

表現されるような

心地よさがあります。

 

小さな島なので

数日間の滞在で

多くの方と

交流を持つ事が出来ます。

 

小笠原諸島では

帰途につくフェリーを

島の方々が見送って下さいます。

 

別れ言葉は

「いってらっしゃい」。

 

フェリー出港に際し

「いってらっしゃい」と

何度も何度も手を振り

見送って下さるその光景は

実に感動的です。

 

盛大な見送りに

島の方々の真心を感じました。

 

「いってらっしゃい」

という別れ言葉。

 

自然と湧き出る

「ありがとう」の心。

 

あの時の光景は

訪れて5年経った今も忘れません。

 

温かく見送られることが

いかにありがたいことかを

教えて頂きました。

 

心のこもったおもてなしは、心に響きます。

心のこもったおもてなしは、心を豊かにしてくれます。

心のこもったおもてなしを、仏道では布施(ふせ)といいます。

 

心をこめることの大切さ。

心を通わせることの大切さ。

 

忘れてはならない

大切なことだと思います。

 

小笠原諸島の思い出は

拙僧(副住職)にとっては

「お諭し」そのものでもあります。

 

大切な思い出に触れ

改めて日々の精進の志を立てた本日でした。

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彼岸明け

春彼岸も終わりました。

 

彼岸とは「向こうの岸」という意味で、“さとりの境地”を指す言葉です。

我々の歩みを“成就させること”とも言えるでしょう。

 

彼岸は仏道修行の一週間とされます。

彼岸はご供養の一週間とされます。

 

修行と供養は別のものではなく、一体のものです。

我々が歩みを進めること、精進に励む事が、そのままご供養にも重なるのです。

 

日本には様々な節目があります。

正月、節分、彼岸など、季節折々に実に多くの節目があります。

意味合いの異なる様々な節目に際し、私達は心機一転を図りつつ自身の歩みを進めることができます。

 

様々な節目を、自分を磨く機会と捉えながら歩みを進めたいものです。

様々な節目に通わされた「こころ」に触れることで自身の心を養い、生き方を豊かにしたいものです。

 

八戸では昨晩に雪が降りました。

早朝には雪化粧をまとった景色が広がっておりました。

彼岸の明ける本日、冷え込みはあるものの強い陽射しが降り注ぎ、降り積もった雪はあっという間に溶けました。

 

暑さ寒さも彼岸まで。

もうすぐ暖かな季節です。

歩みの先に「自身の花」を咲かせてまいりましょう。

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春彼岸中日法要が厳修されました

1年に2度、太陽は真東から昇り真西へと沈みます。

春分の日と秋分の日が、その2度の日にあたります。

春分の日は春彼岸中日、秋分の日は秋彼岸中日です。

これらの日は阿弥陀如来と深く縁があるとされ、彼岸中でも特に大切にされます。

 

3月20日に春彼岸中日法要が執り行われました。

多くの方と共に大切な方への祈り、平安な日々の訪れへの祈りを捧げさせて頂きました。

 

中日法要を執り行うにあたり、早朝より沢山の方にお手伝い頂きました。

様々な温かなご縁により、滞りなく春彼岸中日法要を終える事が出来ました。

温かなご縁に、心より感謝申し上げます。

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伝統に「思い」をのせて

全国的に通夜・葬儀は簡略化傾向にあります。

現代的な背景があることなので、簡略化そのものに善悪はありません。

大切なのは「思い」を通わせることです。

 

当地域には通夜で「数珠回し」(「百万遍」ともいいます)を行う伝統がありました。

念仏を唱えながら縁者の方々と大きな数珠を回し、祈りを捧げる儀式です。

 

昨日、久しぶりに通夜にて、数珠回しを行いました。

数珠回しは通夜読経の後に行われます。

「先に送った父と同じように母も弔いたい」との喪主様のご意向でした。

通夜読経では、導師が読経し、その中でご参列の皆様にはご焼香を頂きます。

数珠回しでは、導師が先達となり、ご参列の皆様が念仏を唱えながら数珠を回し祈りを捧げます。

 

伝統には伝統の尊さがあります。

伝統を守るためには、時代に即した“手直し”も必要であることはいうまでもありません。

各所で省略・簡略化が進み、本来の意味が薄れて形骸化が進みがちな昨今にあって、“伝統の温もり”を改めて教えて頂いた1日となりました。

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