紐解き七崎観音②

死とどのように向き合い

生をどのように捉えるかという

死生観は時代によって

展開があったと指摘されます。

 

供養習俗に注目して

そこから死生観を読み解こうとする

アプローチは現在では

大分定着したように思いますし

各分野で先学による先行研究が

重ねられています。

 

神仏との向き合い方もまた

時代時代の死生観はもちろんのこと

社会背景を踏まえて検討することは

有意義なことだと思います。

 

当山には多くの仏像が祀られますが

奉納年や施主にのみ注目し記録するだけでは

その実態というか意味合いみたいなものが

なかなか見えにくいと思います。

 

同じ尊格が数体祀られているとしても

その造立・奉納の経緯や意図を

おしはかってみるならば

そこに唯一無二の

エピソードが浮かび上がってまいります。

 

言い方を変えると

当時の細やかな背景や事情や思いを

背負っているものが

当山には多く祀られ託されている

ということが出来るでしょう。

 

背景・事情・思いのうち

「思い」が死生観と最も関わりが

深いものかと思いますが

死生観には共時的な傾向と

捉えられるものだけでなく

地域的なものや個別的なものなど

本来は細やかに検討すべきものと思います。

 

そうすると個別無数の検討も要するので

死生観の検討は限界を抱えながらも

時代的特徴を把握するには有効な

方法であることを

確認させていただいたうえ

本シリーズでは死生観についても

着目したいと思います。

 

時代的死生観は

時代的価値観に含まれるものであり

「時代的」と冠する以上

時代背景を見る必要があります。

 

さて

前置きが長くなりましたが

今回は七崎観音の由緒について

時代的死生観にも若干触れながら

見てみたいと思います。

 

前回の紐解き七崎観音①では

七崎観音に関する主な資料を

ナンバリングして列記しました。

 

本堂建替に際する総整理にて

明らかになった情報を反映させ

補足を加えながら

史料の翻刻したものや

作成した図や

荘厳具の写真など

ボリューミーに紹介しております。

 

「塵も積もれば山となる」とは

本当だと感じさせられます。

 

これまで確認されている

藩による近世史料の記述は

貴重な情報を今に伝えている一方

誤植も見られるので

気がついた点については

註をつけております。

 

前稿に掲載した資料にも

何件か触れていますが

七崎観音は海にて引き揚げられた

と伝えられています。

 

引き揚げたのが

坂上田村麻呂公であったり

藤原諸江卿なる人物とされたり

という部分が注目されがちですが

研究職につかせていただく身としては

海から引き揚げられたという点こそ

注意深く捉えたい箇所です。

 

数奇な命運をたどった

七崎観音の由緒として整理しなければ

ならなかったタイミングが

幾度もある中で

勧請者(お迎えした人物)が

いかなる理由で設定されたかは

七崎観音の場合

ほぼほぼ推察可能で

死生観の文脈においても

述べられることはいくつかあります。

 

死生観の文脈で考えるなら

「海から引き揚げられた」点にこそ

より広く共有され暗に引き継がれていたと

思われるものに接近出来るといえます。

 

この「海の信仰」について

次回も取り上げてまいります。

 

位牌合祀所の祭壇が新しくなりました

位牌合祀所の祭壇を

五戸木工さんにお願いして

新調いたしました。

 

合葬墓を使用する方で

位牌壇のない方や

後を見る方のない位牌を

お祀りするスペースでもあり

以前からきちんとした祭壇を

用意させていただきたいとの

思いを強く抱いていました。

 

昨年末に

五戸木工の社長さんに

相談したところ

早速に準備を進めてくださり

昨日と本日で

設置作業を終えてくださいました。

 

以前は

二段の雛壇が設置された

簡易な状態でしたが

今度は欄干も設えられた

立派な祭壇にしていただきました。

 

こちらの祭壇は

住職として当山に

奉納させていただきます。

 

時代の変化により

これまでの供養形式の維持が

難しくなるケースが増えています。

 

そういった現代において

少しでも多くの方に

ご安心いただける一助となればと思います。

 

▼昨年12月29日 午前

 

▼昨年12月29日 午後

 

▼令和6年2月8日 午後

パンフレット作りに精を出す

小正月で刊行したお寺通信でも

記させていただきましたが

本年は各種パンフレットや

リーフレットの制作を

重ねてまいります。

 

普賢院のパンフレットは

プロの力も借りようと思い

業者さんに協力していただいて

最終仕上げに入っています。

 

その他は自力で

こしらえるのですが

昨日と本日は

空き時間をフルに使って

①本年のおこもりパンフレット

②合葬墓三つ折りリーフレット

③お寺でのお葬式三つ折りリーフレット

の制作に励んでおりました。

 

研究所のレポートや研究報告など

〆切が迫りくる原稿には

目もくれずに作業を進めた甲斐あって

それなりに良いものに

なったと個人的に感じます。

 

①②③いずれも

印刷の発注を終え

完成を待つのみです。

 

今年はとにかく

形にすることを意識して

積極的に諸事取り組んで参ります。

 

オンラインで事前受付出来るようにしてみました

だいぶ前から考えていたことですが

各催事をオンラインで

手軽に参加申し込みいただけるよう

受付フォームを作ってみました。

 

護摩法要については

オンライン参列も

受付しております。

 

下記URLから

各催事の概要の確認や

参加申し込みなどが

出来ますので

ご活用いただければと思います。

 

▼お寺ヨガ(2/18)受付シート

https://forms.gle/8c6MpSMFoApa8E8a6

 

▼おこもり護摩(2/26)受付シート

https://forms.gle/gHirNnwcyjCLogUh9

 

▼不動護摩(2/28)受付シート

https://forms.gle/WFxafRqJxjP88aL78

 

▼各催事のご案内はコチラ

https://x.gd/fAo56

 

普賢院本尊の愛染明王④

昨日は「明王の存在感」について

投稿しましたが

インパクトあるお姿には

深いお諭しが込められています。

 

様々なみ教えが託されますが

愛染明王は煩悩即菩提

不動明王は生死即涅槃

を象徴するともいわれます。

 

前回までは

専門的な辞書を引いて

関連事項について紹介をしましたが

今回は『西国愛染十二霊場巡礼』

(西国愛染霊場会編・朱鷺書房・2021年)

を参考に愛染明王の十二誓願を紹介します。

 

なお以下の文言は

引用元の文章を尊重しつつ

語尾を改めた箇所があります。

 

一、智慧の弓方便の矢を以って愛敬を与え幸福を授ける

二、悪心を加持して善果を得せしめる

三、三毒の煩悩を摧破して浄心を起こす

四、諸の邪見・驕慢の心を離れて正見に住せしめる

五、諸人との闘争の縁を断って一生平和に送らせる

六、諸の病苦と天災の難を去って天寿を全うさせる

七、貧弱飢渇の苦を除いて無量の福徳を与える

八、悪鬼邪神の厄を払うて安穏快楽ならしめる

九、子孫繁栄と家運増長を守って復縁を断たせない

十、前世の悪行の報を清めて後生は浄土に生まれしむ

十一、女人には愛を与えて良縁を結ばしめ善児を授ける

十二、女人には臨産の苦を免れしめ所生子には福徳愛敬を授ける

 

誓願はみ教えに通じているものであり

尊格に託された願いでもあります。

 

以上の誓願が

いずれの経典のどの箇所に

典拠を持つものであるかは

調べる余地があるものの

愛染明王十二誓願は

広く共有されているようなので

今回紹介させていただきました。

 

こういった具体的な誓願と

愛染明王の特徴的な各所の造形を

照らし合わせながら

紐解いていくことは

とても有意義なことであり

よりご縁をお結びいただく

方便だと思います。

 

それはまた

機会を改めて

書いてみたいと思います。

 

つづく

 

不動明王の脇侍を造立します

令和5年1月より毎月28日に

不動護摩を行っています。

 

お納めいただくご浄財は

当初は欄間制作にあてる予定でしたが

欄間は現実的ではなく思われ

なければなくても良いものなので

方針を変更して

堂内の荘厳具などに

使わせていただくことにしております。

 

これまで不動護摩にて

お納めいただいたご浄財を元に

不動明王の脇侍(わきじ)である

矜羯羅童子(こんがらどうじ)

制多迦童子 (せいたかどうじ)を

仏師さんに造立していただくことにしました。

 

本年1月末に

仏師さんに相談したところ

順調にいけば

本年4月末〜5月上旬頃に

完成させられるだろうとのことでした。

 

なので5月の不動護摩では

脇士仏を両側に従えられた形で

お不動さまとお向き合いいただけると思います。

 

5月の不動護摩では

両童子の開眼作法もお勤めし

ご参列の方々と謹んで

祈りを捧げさせていただきます。

 

不動三尊の形式で行う

最初の護摩でもあるので

特別護摩札を用意しようかと

思案しています。

 

成田山のように

何万人もの参列者規模ではないので

お申し込み分を手書きで準備するのは

難しいことではないので

矜羯羅童子と制多迦童子の開眼の機会に

入用の方向けに用意したいと思います。

 

あくまでも入用の方が

いらっしゃればの話です。

 

今月の不動護摩は2月28日です。

 

その2日前には

秘仏をご開帳しての

おこもり護摩がありますが

不動護摩にも

ぜひお運びいただければと思います。

 

明王の存在感

普賢院の本尊は愛染明王という

とても深秘な尊格です。

 

かつて

愛染明王を本尊として祀るには

様々な条件が必要だったため

本尊として祀られる寺院は

多くはありませんし

少なくとも八戸近隣では

普賢院だけです。

 

昨年春にご縁あって観音堂お迎えして

修繕させていただいた

不動明王という尊格は

信仰の歴史が古い仏さまで

宗派を超えて

民間信仰に至るまで

篤く祈られてまいりました。

 

如来、菩薩、天など

尊格には様々なお姿がありますが

明王のお姿は特に威風と貫禄が感じられます。

 

本堂と会館と位牌堂には

多くの仏像が祀られ

どの尊格も尊いお姿で深みがありますが

現在の普賢院において

明王の存在感が際立っています。

 

それぞれのお姿に託された

み教えがある

ということは言うまでもありませんが

威風ある明王に託されたお諭しは

現代において一段と響きあるものとして

捉えることが出来るのではないかと

最近感じています。

 

そのようなことを思いつつ

節分である本日は

各所でお勤めさせていただきました。

 

行事案内をライブしてみました

昨日も行事案内をしましたが

今月の行事について

動画でご案内してみました。

 

ご覧いただければ幸いです。

 

▼昨日のご案内はコチラ

2月の行事案内(2月1日の記事)

 

チラッと以前も書きましたが

昨年9月以降

動画を編集して

行事の様子をお伝えするのを

お休みして

より良い形で諸事お伝えする方法を

模索しております。

 

その一環で

2月の行事案内をライブ配信してみました。

 

昨年夏頃より

ちょくちょくライブ配信にチャレンジしてますが

本年は一層チャレンジしたいと考えています。

 

法務(葬儀や法事や行事など)のほか

様々な役職を任せられている現状だと

動画を編集する時間の確保が

難しくなったこともありますが

ライブ配信を重ねることで

積み上げられる経験や技術的側面の向上は

今後大いに役立つと感じていることも

最近はライブ配信を重んじている理由です。

 

配信したと思っていたら

操作ミスで配信されていなかったり

失敗の連続という段階ですが

模索を続けてみたいと思います。

 

2月の行事案内です

 

2月は

お寺ヨガ

おこもり護摩

不動護摩を開催します。

 

以下にお寺ヨガとおこもり護摩の

リンクを添付するので

詳細はそちらをご参照ください。

 

不動護摩については

新たに用意した不動明王御守

新たに用意する供養護摩木

新たに取り組ませていただくことなど

もう少し整ってから

改めてご案内いたします。

 

どの行事も

どなたでもご参加いただけますので

お気軽にご一緒いただければと思います。

 

お寺ヨガのご案内

 

おこもり護摩のご案内