人は誰しもが
いつの日か
生涯を全うする
その時を迎えます。
我々は必ず訪れる別れと
向き合わなければなりません。
仏道では
八苦(はっく)の中に
愛別離苦(あいべつりく)
という言葉があります。
往く方もいらっしゃれば
見送る方もいらっしゃいます。
深いご縁で結ばれた方と
別れることは
「悲しみの極み」とされます。
葬儀や法事は単なる形式ではなく
尊いお歩みとお向き合いする場です。
作法とは「法をなす」ということで
一連の所作は深秘なみ教えそのものです。
真言宗は伝統的に
修法(しゅほう)を重んじます。
葬儀や法事の際に
お経を唱える以外に
“ゴニョゴニョ”と小声で
小さく手元を動かしているのは
真言や文言を唱えながら
印(いん)を結んでいるためです。
伝えられる所の
「一挙手一投足」に
こころを託して作法を
なさせて頂くことを
最近では殊に重要視しております。
引導(いんどう)とは
「引き導く」意であると同時に
「引き導いて頂く」ことです。
安らかなれと願うとともに
私達を善き道へ
お導き下さいますようにと
切に願う尊い祈りの場が
葬儀や法事です。
単に“こなす”ような
法事であるならば
本来的な意味が薄れてしまいます。
儀式を行うこと自体が
目的ではありません。
儀式や諸作法に
託された仏道のこころを
しっかりとお伝えすることは
とても大切であると感じております。