双極性障害(躁うつ病)と向き合う⑰

当山住職は長年

双極性障害(躁うつ病)を

患っております。

 

「障害」と病名がつくように

脳疾患により引き起こされる

病気です。

 

気分や気持ちが

どうのこうのという話ではなく

患者本人が自身を

制御することが

難しい病気なのです。

 

双極性障害自体は

認知度も低く

誤解も多い病気であると

つくずく感じております。

 

 

昨年夏頃より当山住職は

激しい躁(そう)状態でしたが

最近は落ち着いて

日々を過ごしております。

 

現在では

声を荒げる事も

むやみやたらな電話も

ほとんど見られず

つい一月前と現在とでは

別人の様です。

 

この「激しい波」が

双極性障害の特徴です。

 

双極性障害の治療は

躁状態の再発を防ぎ

躁状態とうつ状態の波幅を

少なくすることを

目指すのだそうです。

 

今回は少し違った視点から

双極性障害について

述べさせて頂きます。

 

「居場所」と「出番」。

 

この2つは

保護司の研修にて

「社会復帰」する上で

鍵を握るものであると

強調されていたものです。

 

この点は更生保護のみならず

本質的なものかと思いますし

健やかな日々を考える上で

とても大切な視点かと思います。

 

当山では国際協力にも

取り組んでおりますが

世界に横たわる難しい現実の

根本的な背景を考える上でも

有効な視点です。

 

双極性障害と絡めていえば

患者本人にとってだけではなく

周囲の家族にとっての

「居場所」と「出番」も

大切なものだと感じます。

 

躁(そう)状態では

過度に活動的であり

横柄な態度で

散財も激しく

家族の足並み関係なく

後先考えずに行動してしまうので

周囲の家族にとっては

自身の「居場所」に

土足で入られている様な印象があり

自身の「出番」を“妨害”されて

いるような印象がありました。

 

これはある意味では

患者本人にも重なる話だと思います。

 

要するに

多幸感一杯の状態で

あれこれと行っているにも関わらず

歯止めをかけられるのですから

患者当人からすれば

「なぜ自分の邪魔をするのか」

といった感覚なのではないかと

推測されるのです。

 

周囲の家族に流れる時間は

ある程度一定の流れであるのに対し

双極性障害は

躁状態とうつ状態を繰り返すゆえ

患者当人からすれば

“時間の流れ方”は一定ではない

のだろうと思います。

 

時間の流れを

川で喩えれば

干上がったり

いきなり大水となったり

といった感覚でしょうか。

 

治療を継続しながら

当山にも家族にも

穏やかな時間が

流れることを願いながら

日々過ごしております。

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