200有余年ぶりに蘇った大般若

文化7年(1810)に

当山の本堂は火災に遭ったため

仏像仏具や古文書の多くが

焼失したとされております。

 

焼失したもののなかに

大般若経(だいはんにゃきょう)

という600巻にも及ぶ

経典があったとされます。

 

この大般若という経典は

転読(てんどく)という

作法をもって

祈りが捧げられるものでもあります。

 

大般若は

西遊記のモデルとされる

玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が

天竺から「中国」に

持ち帰られたとされます。

 

本堂建替という歴史的節目にあたり

大般若も新調いたしました。

 

つきましては

本堂落慶法要は

大般若転読会(だいはんやてんどくえ)

という大般若を用いた法要を

厳修いたします。

 

当山で大般若を行うのは

実に200有余年ぶりとなります。

 

大般若は

600巻よりなる経典です。

 

以前にも記しましたが

折角の機会ですので

今後は1巻1巻に施主さんを

募集させていただき

各巻末に施主名と願目を

記載させていただきたいと

考えております。

 

施主となっていただいた方には

その証として

各巻毎に用意した祈祷札を

お渡し出来ればと思案中です。

 

この「大般若奉納祈願」(仮称)

に際してお納めいただいたご浄財は

伐採・製材したイチョウの

仏像加工であったり

本堂建替事業の中では

着手出来なかった部分の

修繕や整備などにあて

祈りの環境を整えることに

繋げさせていただきたいと

思いをめぐらせております。

 

大般若600巻の膨大な経典の

心髄・精髄が記されたお経が

般若心経とされます。

 

また

真言宗で最重要視され

法事や葬儀などで

必ず読誦される

般若理趣経(はんにゃりしゅきょう)

というお経もまた

大般若や般若心経と同じく

般若経典というグループに属する

経典となります。

 

般若とは智慧(ちえ)を指し

空の思想につながるものです。

 

そういったことも

お伝えしつつ

ご縁をお結びいただいた方々や

祈りをお捧げされる方々の

思いが廻らされるような

環境をしっかりと整えるのは

住職としての

重要な責務と常々捉えています。