美しき脱活乾漆

脱活乾漆(だっかつかんしつ)とは

漆を用いた作仏の技法で

奈良時代に盛んであったとされます。

 

平安時代以降になると

木造での作仏が中心となり

脱活乾漆による御像は

あまり見られなくなり

「幻の技法」と化してしまいます。

 

奈良時代に隆盛した

脱活乾漆の技法は

幻のものとなったものの

脱活乾漆の古仏の断片を

手がかりとして

現代に蘇らせたのが

関頑亭(せきがんてい)先生です。

 

関頑亭先生が手がけられた

素晴らしい御像は

市内の洗心美術館に

何点か所蔵されております。

 

以前にもご案内しましたように

洗心美術館を管理されている

コサカ技研の小坂明会長の

ご厚意により

当山に脱活乾漆像を

奉納いただくことになり

本日打ち合わせに

行ってまいりました。

 

ご奉納いただく権現像は

観音堂の中央祭壇の前に

ご安置いたします。

 

仏像奉納の施主である

小坂会長方3名で

新本堂の権現像をお祀りする場所を

ご確認いただきまして

今後の段取りについては

徐々に詰めることとなりました。

 

そのような

打ち合わせをさせていただく中で

脱活乾漆をもう一体

ご奉納いただけることになりました。

 

新たにご奉納いただくことになったのは

薬師如来(やくしにょらい)像です。

 

思いもかけない

お話しだったので

とても驚いたとともに

大変ありがたく感じました。

 

大変に光栄なお話しをいただき

当山での祭祀方法を

色々と検討した結果

薬師如来像は

ふれあい豊山館1階の

祭壇中央に安置させていただくのが

最も丁寧かと考えております。

 

現在(令和4年5月時点)

ふれあい豊山館1階は

仮本堂として荘厳されており

祭壇中央には本尊厨子が安置されています。

 

当初

新本堂完成後は

仮本堂の荘厳は撤収する予定でしたが

薬師如来像をお迎えするに伴い

仮本堂の荘厳は概ね維持させていただき

「薬師堂」として空間を

整える思案をしております。

 

薬師堂とは

「薬師如来を本尊とするお堂」の意です。

 

ご奉納いただく薬師如来像は

とても立派で

大きさもあるので

脇侍(わきじ)としてお祀りするよりも

一お堂の主尊として

“厳かに”お祀りすべきと思い

そのような方針を

取らせていただく所存です。

 

 

▼権現像(脱活乾漆)

 

▼薬師如来像(脱活乾漆)