時代をこえて

普賢院は

真言宗豊山派(ぶざんは)

という宗派のお寺です。

 

開創は今から1200年以上さかのぼる

延暦・弘仁年間(8C末〜9C初頭)で

初代住職は圓鏡(えんきょう)

という方です。

 

鎌倉〜江戸時代初期までは

主に永福寺というお寺の名前が

用いられております。

 

昨年解体した旧本堂は

文化7年(1810)の火災で

旧々本堂が焼失したため

その翌年に再建されたものでした。

 

その火災により

多くの仏像・仏具・書物も

焼失したとされます。

 

焼失したとされるお経の中に

大般若経という600巻にも及ぶ

ものがあります。

 

大般若経という経本は

ご祈祷にも用いられる尊いもので

本堂建替にあたり

新たに用意していただきました。

 

3年前に発注させていただき

つい先日

お寺に届けられまして

そして本日

東京から仏具屋さんがおいで下さり

梱包を解いて納めて下さいました。

 

大般若については

今後法要で用いるのはもちろんですが

一巻一巻に施主さんを

募らせていただこうかとも

考えております。

 

当山は藩政期において

南部藩の祈願所でもあり

ご祈祷を担っていた

お寺でもあります。

 

新本堂の完成を

ひとつの契機として

これまでのご祈祷に加え

大般若のご祈祷も

奉修させていただき

祈りをお捧げしたいと思います。

 

話題が変わりますが

拙僧はここ数日

ほぼ“缶詰状態”で

次第(しだい)を

したためております。

 

ここでいう

次第というのは

僧侶が儀式で使う

経本のようなものです。

 

説明が難しいのですが

当山では様々な仏様が

お祀りされているので

その分

様々な次第が用いられます。

 

次第を用いてのお作法を

供養法(くようぼう)ですとか

諸尊法(しょそんぼう)といいます。

 

専門的な話題なのですが

例えば

愛染明王法

十一面観音法

不動法

など仏様ごとに

様々なものがあります。

 

また

法流(ほうりゅう)という

お作法の流派のようなものによっても

違いがありますし

同法流であっても

伝授する阿闍梨さんによっても

お寺によっても異なります。

 

とにかく修法(しゅほう)は

奥が深いものです。

 

住職が改まり

さらに来年には

新本堂が完成するにあたり

当山歴代住職が用いていた

次第書や所蔵する資料等を

参考にしつつ

筆を走らせております。

 

先にも記したように

210年前の火災で

多くの次第も燃えているので

やたらと古いものは

残っていませんが

200年程前の次第書であったり

最近のものでは

先代住職がまとめたもの等を

手がかりにしながら

筆を進めております。

 

まるで時代をこえて

歴代住職と対話を

させていただいているようです。