双極性障害(躁うつ病)と向き合う㉒

躁(そう)状態うつ状態

を繰り返す脳疾患である

双極性障害(躁うつ病)

当山住職は長く患っており

現在は躁(そう)状態にあります。

 

双極性障害は

「双極」との名称が表すように

かなり極端な状態を

繰り返すという難しい疾患で

社会的信用の喪失と

家族崩壊につながりやすいとされます。

 

そのような心配要素があるため

当山では住職が躁状態になった際は

病気のことや

住職の健康状態について

ブログ等でとりあげております。

 

▼これまでの記事はコチラです。

双極性障害(躁うつ病)と向き合う

 

今回は

躁(そう)状態と

平時の寛解(かんかい)期の

大きなギャップについて

つづらせていただきます。

 

躁状態をいかに

抑えるかが

この疾患との

向き合い方においては

とても大切なこととされます。

 

躁状態は脳疾患により

引き起こされる症状で

患者本人は自身の感情や行動を

コントロール出来なくなる様な

状態になってしまいます。

 

住職は

徐々に落ち着いてきておりますが

まだまだ躁状態にあります。

 

住職はもともと

誠実で心優しい僧侶なので

躁状態にあっても

家族のため

お寺のために

色々と行いたいという

思いが伝わってまいります。

 

ですが

躁状態ですと衝動的で

角が立つような振る舞いに

なってしまうことが多いため

周囲の者は

困惑してしまうこともありますが

住職も周囲の者も

それぞれに現況と向き合いながら

日々を過ごしています。

 

躁状態の主な症状として

以下の画像にあるような

ものがあげられます。

 

 

住職自身は

寛解(かんかい)期

つまり普段は

冷静に物事を考えて

慎重に行動する性格で

資料にあげられるような

姿とは全く異なります。

 

冷静で慎重な人物が

全く別人格とも感じられるような

「症状」を引き起こすのが

この疾患の特徴です。

 

当山では

疾患との向き合い方のひとつとして

躁状態になった際には

当ブログや各SNSを通じて

そのことをお伝えして

症状を踏まえたうえで

住職とお向き合いいただけるよう

努めております。

 

現在当山では

本堂建替事業を進めており

建設関係の会議を

定期的に開催しているのですが

役員さん方にも

健康状態については

お知らせしております。

 

先に示した画像資料中に

「散財する」とありますが

活発な多動や外出に伴い

様々な買い物を

過度に重ねることと

言えると思います。

 

5年前に躁状態になった際の

散財はかなりのものでしたし

その時は

独断での行動が

今回よりも激しいものがあり

役員会にて大切に管理して

それまで必要な場合にのみ

使用してきた特別会計のお金を

何の承認を得ることなく

一部使うことになってしまい

役員会で問題になった

前例があります。

 

ある専門書によれば

躁状態にあるときは

患者本人に万能感があり

自身は特別な人間であるという

誇大感情にあふれるそうで

所定の手順や段取りを経て

なされるべきものでも

それらに囚われず

衝動的に動いてしまうことが

多々あるとのことです。

 

あくまでも脳疾患により

引き起こされるものですが

疾患についての前情報が無ければ

患者本人の人格や倫理の

問題として受け取られかねませんし

社会的信用の喪失に

なりかねないため

会議の案内とあわせて

役員の方々には

疾患についてお知らせしています。

 

最近はウイルス禍により

この1年以上かけて模索されている

新しい生活様式や

ニューノーマルと称されるものが

それまでの慣習を

塗り替えつつあるものが

多々見られます。

 

おそらくウイルス禍は

まだまだ収まりを

見せないでしょうし

他にも以前から指摘されている

現代的な諸々の課題も

踏まえなければ

有意義な検討は出来ません。

 

これまでの

本堂建設関係の会合でも

色々と踏まえて

専門家の方々のご意見や

収集したデータも参考にしつつ

これまで何年もかけて

会議で検討を重ね

方針をたててきました。

 

本堂工事や墓地・境内整備など

すでに内容が決定されており

各業者さん方が

事を進めて下さっていることの

進捗状況を確認することに

時間をさくべき段階でもあるので

話し合いを円滑に進めるためにも

役員の皆様や関係業者の方には

病状のご理解をお願いしております。

 

散財に関連してですが

躁状態になった際(今回も前回も)

住職は自身の僧階(そうかい)を

上げたくなる衝動に

駆られる傾向があります。

 

躁状態ではない時は

僧階を上げることへの

強烈な願望はないのですが

躁状態にある時は

階級を上げたくなる様です。

 

ここでいう僧階(そうかい)とは

真言宗豊山派僧侶の階級のことで

上げるためには

かなりの費用を必要とします。

 

当山は地方の小さな一寺院でして

経済的に恵まれたお寺ではありませんし

今後ますます厳しい

環境になっていくことは

間違いありません。

 

僧階が関わってくるような

大人数の僧侶が集まって

開催されるような

大きな儀式も修行もないですし

将来的にも予定がないので

はっきり言って

僧階は全く関係ありません。

 

ちなみにですが

拙僧(副住職)は資金を用立てて

現在以上に僧階を上げない予定です。

 

拙僧(副住職)祖父にあたる先代も

僧階を上げない方針を貫きました。

 

自身の僧階を上げるために

多額の費用を使うよりは

有縁の皆様に資するような催しの充実や

当山で注力している

寺子屋ワークショップなど諸活動にあてたり

後進育成の環境を整えるために

あてさせていただきたいとの

思いを強く抱いています。

 

僧階を上げることは

宗派の中という

ごく限られた世界でのみ通用する

僧侶としての階級を上げるというだけで

有縁の方々のためになることではないですし

それによって自身の技量が

高まるわけでもありません。

 

躁状態における

衝動的な考えだと思われますが

地方の小さな一寺院であり

維持管理に様々な難しさが

生じ始めている

という現実をはじめ

諸事情を冷静に踏まえて

賢明な判断をして欲しいと

心から思います。

 

本来は

誠実で冷静で

慎重に行動する住職ですが

躁状態では

本来とは全く異なる

言動が疾患により

引き起こされてしまう

ということが

今回見てきた事例からも

うかがい知ることが

出来ると思います。

 

双極性障害では

躁状態における

衝動的な考えに基づいて

なされた行動を

後々振り返った時

深く後悔することが多い

ということが分かっているので

後々の後悔に繋がりうることは

明確な根拠を示したり

考えるための視点の手がかりを

伝えるようにするなどを

心がけております。

 

躁状態と寛解期で

これだけ大きなギャップを

感じさせるゆえ

この疾患については

当山有縁の方に

大まかにでも

把握していただく必要が

あると感じています。

 

躁状態の時の様子について

仏道の表現を用いると

「執着」が強くなると

言えると思います。

 

自我が肥大化され

感情や行動のコントロールが

難しくなっているように感じます。

 

そもそも「執着」は

仏道において離れるべきものです。

 

離れるべき状態に

陥ってしまうという症状は

客観的にみていて

僧侶として何よりも辛いものであろうと

想像しています。

 

双極性障害で

一番辛いのは

患者本人です。

 

これまでのブログでも

取りあげてきたような

極端な症状は

自身の脳や体に

とても大きな負担を与えます。

 

躁状態では

あまり睡眠せずとも

動き続けることが出来る程

脳内には過剰に

ドーパミンが放出されます。

 

換言すると

脳が疲れを感じない様な状態にあるだけで

体は無理に動かされているので

過度に負担がかけられているわけです。

 

先にも触れたように

少しづつ住職の躁状態は

落ち着きつつあります。

 

当山住職の場合

本来的な真面目な性格もあって

何年も治療を継続しており

通院は欠かすことなく

定期的にしていますし

状況に応じて処方される薬の

服用も欠かすことがないので

ある程度上手に

疾患と向き合えているように思います。

 

一日も早く

躁状態を脱して

穏やかな状態に

なってもらいたいと思います。