十和田湖の聖地覚書③ 占場(うらないば)

十和田湖屈指の聖地とされる

占場(うらないば)。

 

そこは

南祖坊(なんそのぼう)が

入定(にゅうじょう)し

青龍権現(せいりゅうごんげん)という

十和田湖の龍神と

化したとされる場所です。

 

占場へは

断崖絶壁にかけられている

とても長い鉄ハシゴで下るのですが

現在は通行禁止となっております。

 

今回は十和田湖自然ガイドクラブの

皆様が諸々を手配して下さり

占場へ赴くことが出来ました。

 

占場の水辺から水中を覗いてみると

断崖のようになっており

1〜2メートル先から

いきなり深くなっていました。

 

占場は

中山半島の東側位置し

中湖に面しております。

 

中湖は十和田湖の中で

最も水深があります。

 

視線の先には

御倉半島が見えます。

 

御倉半島は半島そのものが

神聖な場所とされています。

 

御倉半島が龍の頭で

中山半島が龍の尾にあたる

との言われもあるそうです。

 

占場(うらないば)という

名前が示す如く

こちらは卜占(ぼくせん)等が

行われていた場所です。

 

占場はオサゴ場とも呼ばれ

そちらで占いをすることは

「オサング打ち」

「サング打ち」等とも

呼ばれるそうです。

 

おより紙(御依紙)を湖水に放ち

その沈み具合により

“神意のおうかがい”が

なされたりしたようです。

 

占場は地形的に

風の影響があまりない

場所でもあるようです。

 

「サング」を漢字表記すると

おそらく「散供」という字が

あてはまるかと思います。

 

散供とは

神仏に“お供えを捧げる”ことで

修法の作法でもあります。

 

「打つ」というのは

“祈りを捧げる”といった意味合いです。

 

観音霊場を巡礼して祈りを捧げることを

「札を打つ」とか「札打ち」

と言うことがありますが

「サング打ち」の「打つ」も

同様の意味合いがあると思います。

 

占場の湖底からは

多くの古銭が引き揚げられており

多くの人により

祈りが捧げられていたことが分かります。

 

南祖坊は

当山第2世の月法律師(がっぽうりっし)の

弟子として当山で修行され

その後に全国を巡礼巡行した果てに

十和田湖に入定し

青龍権現となったとされます。

 

その伝説の

象徴的スポットの1つが占場ですし

南祖坊の“入水入定”は

とても重要な諸要素やテーマを

宿しているといえます。

 

この点については

また改めて伝えさせて頂きたいと思います。