双極性障害(躁うつ病)と向き合う⑯

当山住職は長年

双極性障害(躁うつ病)

患っております。

 

双極性障害は

躁状態とうつ状態を

繰り返す脳の病気です。

 

当山住職は昨年夏頃より

躁状態となりました。

 

とても活動的で

口数も激増するので

一見元気になったように

見えるかと思いますが

精神科医によれば

双極性障害の症状だそうです。

 

体も動くように感じ

多幸感を感じるようですが

それは躁状態で病気だからとのことです。

 

双極性障害という病気は

認知度もまだまだ低く

なかなか理解されにくいものです。

 

躁状態は

病気によって“動かされ”

自身でコントロールが

出来ない状態であり

それが様々な粗相や問題を

引き起こすことが多いです。

 

ここ数年

何事においても急激な変化がみられます。

 

当山でいえば

お勤めの流れ

大きな行事の準備などの

内部事情は勿論のこと

世間における価値観の多様化や

宗教法人に対する管理体制整備の必要性など

寺院運営上看過出来ない外部環境も

ここ数年で劇的に変化しております。

 

住職には気の毒ですが

目まぐるしく

大きな変化が繰り返されてきた

今の世の中にあって

かつてのように通用しないことが

事実として沢山ありますし

かつて以上に気をつけなければならない事も

沢山出て参りました。

 

躁状態では

横柄な態度となる

大声で話す

怒りっぽくなる

家族をはじめ周囲の迷惑関係なく活動的になる

恩を着せようとする

激しく散財する

などの言動が特徴として見られました。

 

躁状態では

思い込みが非常に激しい様で

筋道を立てて行動することは難しいようです。

 

住職も本年68歳で

決して若くはありませんが

躁状態では眠気も感じずに

年不相応に活動しており

体に相当負担をかけたように思われます。

 

自身がお寺の全てを自由に扱えるという

誤った思い込みが激しい時期もあり

それは「お寺の私物化」ではないかといった

ご意見も頂きました。

 

何の相談もなく独断で

次から次へと工事を発注し

これまで総代会や役員会で

協議しながら大切に使って来たお金も

相当使ってしまい

役員会でも厳しく指摘されました。

 

その際に

決算報告にあたって監査をして頂いた

監査員の方々や

住職の発注した工事や購入物の

会計処理を許可せざるを得なかった

総代長が役員会の場で

責任を問われてしまい

とても申し訳なく感じました。

 

周囲の方々にまで

こういった形で多大なご迷惑を

おかけしてしまい

非常に心苦しい限りでした。

 

本件により

代表役員である住職の

お寺における決定権について

今後の方針が暗黙のうちに

共有されたと感じます。

 

経るべき手順

守るべき理念

そういったものと

照らし合わせて判断を下し

組織として動くという観点が

大切にされなければなりません。

 

人目を盗んで

バレなければ良いといった

安易な考えに

基づいた行動や

昔がどうのこうのといった

理由づけを以て

行動を正当化することは

今の世の中通用しません。

 

躁状態では

現在の世の中における

お寺の運営にあたり

昨今声高に求められている

“高い意識”に欠けた言動が

目立つように感じます。

 

住職が躁状態になってから半年以上が経ちます。

 

医師から

控えるようにいわれていた

飲酒も喫煙も止めどなく

糖尿の数値も悪化が予想されます。

 

殊に喫煙は本数も多く

所構わず吸ってしまうことがあり

つい先日お寺で開催された

檀家の皆様との懇談会にて

皆様を前に喫煙していたようで

会合後に参加者より苦情を頂きました。

 

お寺をお参りされた方や

葬儀や法事でご一緒させて頂いた方からも

喫煙の本数が多いが故に

少し考えた方が良いのではといった

ご心配のお声も沢山寄せられております。

 

拙僧(副住職)も住職妻も

タバコで健康を害された経験があるにも関わらず

我々がいなければ平気で

客人の前であっても

室内でも境内でも喫煙するといった態度は

とても横柄で非常識に感じます。

 

精神疾患と喫煙は深く関わるようで

精神疾患患者の約9割は喫煙してしまうそうです。

 

双極性障害も

ニコチン依存症やアルコール依存症を

併発しやすい病気で

喫煙や飲酒で心を落ち着かせようと

するのだと考えられているようです。

 

そういった傾向とは裏腹に

医学的な見地によると

喫煙や過剰な飲酒による

「気持ちの落ち着き」は

勘違いのようで

実際には緊張を更に高め

体に一層負担をかけるのだそうです。

 

躁状態になってからの話は

挙げれば切りがありませんが

躁状態は周囲にとって

“異常である”と感じるものが多く

非常に疲弊するものであると

身を以て感じております。

 

病気がそうさせていることは

間違いないのですが

現実として同棲する家族は

相当に疲れております。

 

家族のストレスも

健康を害する程に

溜まっている様なので

患者と家族の間に

適度な距離を置くことが

必要であると感じております。

 

ありのままに記させて頂きましたが

これが双極性障害の現実であり

当山における現実です。

 

最近は

処方された薬の相性が良いようで

若干ですが落ち着いて来たように感じます。

 

人は誰しも過去に生きることは出来ません。

 

今を生きることは

最も身近な家族を始めとする「人」と向き合い

「今の時代」と向き合い過ごすことでもあります。

 

規則正しい生活リズムを整え

治療をしっかりと継続し

何事も“懐深く”見つめ

時代に即した常識を鑑み

年相応に平穏な日々を過ごすことを

心掛けてもらうことを願います。

 

ojiisan_obaasan